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繋いでいくコト 未来への架け橋となるオークリーフの挑戦

代表取締役 柏葉晴良インタビュー [2/4]

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消費者の真の利益を追求する
「未来日記」プロジェクト


   消費者の求める声を聞く。そのきっかけとなったのは、1994年に始めたファームインだった。敷地内にログハウスを建て、宿泊体験をしてもらう。そこで出会った消費者の様々な声。耳を傾けてみると、みるみる視界が開けるように思えた。恵まれた自然環境、自分たちで安全なものを作り消費者に届けることができること。そんな当たり前のことに気づくことができた。利益優先だった考えが、消費者優先に変わった。
   ただ儲かる牛ではなく、消費者の求める牛を育てる。折しも、BSE問題や牛肉偽装事件などが明るみに出始め、これまでの生産者の姿勢が厳しく問われるようになった。コストを切り詰め、効率のみを追い求めるのではなく、手間ひまがかかっても消費者の真の利益を優先する。命から命へ、つながれていく遺伝子の未来まで思いを馳せて、「食のあり方」を問い続ける日々だった。
   そうした思いを共有する生産者たちが集まり、2002年に「未来日記」プロジェクトが始まった。ファームインで消費者の声を聞いてから8年。始まりの一歩を踏み出せば、協力者や共感者が必ず見つかる。自分が蒔いてきた小さな種が、少しずつ土の中から顔を出し始め、小さいけれど確かな芽が日の光を浴びた瞬間だった。
   消費者の真の利益とは、「安心して食べられる、安全で美味しい食品。次の世代に胸を張って手渡せる食品」。消費者の声に耳を傾けながら、消費者の求めるものづくりをしていく。未来日記は、そうして動き始めた。


   未来日記のものづくりは、消費者に対して価格や味で満足してもらうことはもちろん、更に「安心・安全」であることが約束されている。第一には、安全なえさを牛に食べさせること。Non-GMO(非遺伝子組換え)、Non-Postharvest(収穫後農薬未使用)のもので、抗生物質、抗菌剤なども一切添加しない。そして衛生管理の行き届いた快適な環境のもとで、牛を育てる。第二には、牛の生産情報を記録し、一般に公開すること。一頭の牛がどのように育てられ、何を食べ、どんな治療をされてきたのかなど、消費者の求める情報を包み隠さず公開することで安心して肉を食べてもらう。そして、牛を生産(出荷)して終わりだった従来のあり方を見直し、「未来日記」を十分理解してもらっている信頼できる小売店や流通業者と協力することで、消費者の手に届くまで責任をもって届ける仕組みができた。
   利益のみを追い求めていた時代はとうの昔に終わった。時代と共に変化していく価値観に敏感に対応しながら、消費者の声に常に耳を傾けること。求められる情報を包み隠さず公開し、安心感を得てもらうこと。生産者と消費者が、相互に繋がりあいながら営む食のリサイクルは、こうした人々の手によって、これから真に豊かになっていくに違いない。


トレーサビリティ管理システム。生産過程の全てを見せることには、自分たちにも重い責任がのしかかる。生き物の現場には、一切の妥協は許されない。






 
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